土橋仁 vocal &guitar

松山哲弘 bass

久嶋義一 drum

沢田ユキ keyboard

yocio-「ヨシオ」の中心メンバーであり福井のインディーズを語る上で必ずその名が挙がる存在---土橋仁。このツナギスタイルにオモチャのゴーグルをかけたコミュニケーション不全の男、彼は一体何者なのか?天才なのか?馬鹿なのか?凡人なのか?変態なのか?・・・その「答え」が、かけらなりとも含まれるなら、このインタビューは大成功だ。

photo:明直樹

 


○アレまだやってる?

(土橋---以下ウ) ああ求聞持聡明法ですか(弘法大師・空海も行っていた密教の修行法/虚空蔵菩薩の真言(マントラ)を早朝より百万回以上唱え続けることによって宇宙の精神と知識を得た天才となる)?あれから二ヶ月が経ちましたっけ?ボチボチやってるんですけどね。何か頭良くなってきたような気もします。

○イカレてきたの間違いでしょう。

ウ そうですかねえ?

○ところでゴーグルは外さないんですか?

ウ 馬鹿なんですよぼくは。

○えーと、今日はyocioのインタビューということで、土橋くんにコチラ(スパコー)まで来て頂いたんですが……まずは、最近ギターが脱退したらしいですね。

ウ 最近っていうか、6月半ばですよね。ぼくん家に大西さん(前ギタリスト)がひょろっと現れて、貸してたマンガとか持ってきて、受け取ったら「もう辞める」って言われて……正直参りましたけどね。しょうがないですハイ。大西さんおつかれサマンサ。

○音色的に変化があります?

ウ そうですね……まあギタートーンはこれからヘタッピイになりますよ何せぼくだけが弾くんですからヒャハハハ。でもまあ、多分ギターはもうひとり入れると思います。未定ですけどね。ぼくは今までメンバーに恵まれてきた方なんで絶望はしてないですけど。かといってポジティヴってなわけでもない。練習しなくちゃあね。他のメンバーは今までで一番ベストですし……マッチャン(ベーサー)はブルーの音を好んでファンキイなベースフレーズを練ってくれるし-----まとまり難いのがちとネックですが-----クッシーくん(ドラマー)は時にタイト/時にダイナミックなビートを刻んでくれる。ユキちゃんは理論と大胆を兼ね備えたフレーズを奏でるキーボーダー。みんな最高に信頼できる仲間です。ぼくなんかいつも「ギャオー」つって暴れまくってるだけでしたからね。ぼく自身を鍛えなくちゃなあと思います。

○土橋くんあってのyocioですからね

ウ (店のお客であるコギャルを透視機能付かと思わせるかのようにゴーグル越しにしげしげと胸の谷間と下腹部を交互に見やりながら)いやあぼくは失格ですから。

○失格?そんなことないでしょ。

ウ (こちらを振り向く)ヒャハハハハ(鼻毛が伸びてる)。

○……ぼくはですね、yocioっていうのは実に奇妙なバンドだと思うわけですよ。今まで福井にはなかったタイプのバンドだし。

ウ そんなことないですよ。今までの福井のアンダーグラウンド・シーンが知られてないだけであって……自分でも、特殊なことをやってるという自覚はないですし。

○「何がやりたいんだろう」とは思わないけれど、「何なんだこりゃあ!」とライブを観ていつも思いましたね。

ウ ヒャハハハハ。だけど今はもっとバンドバンドした感じです。今の構成が今までで一番最高です。

○うんうん、リズム隊がチェンジし、キーボードが入ってからは凄いバンドらしくなりましたね。かなり「熱い」印象を受けましたよ。

ウ ハハハそうですかヒャハハハハハハハ………ゴホッ、ゲフッ、エホッ。

○はは……ところでyocioのジャンルってどう言えばいいんだろう?

ウ ああ〜ん……ポップバンドかな、軽くスペイシイを含んだテイスト。まあそんな感じでシクヨロック。

○ロックバンドじゃないんだ?

ウ ロックとファックするのは当然だという前提ですよ。

○なるほど。だけどあんまり福井のポップバンドとは対バンしてないっすね。

ウ あまりその方面に友達がいないんですよね……でもまあ福井ではパンクとかガレージとかテクノのバンド/ユニットの方が圧倒的に面 白いですよね。けど……なんかなあ、福井には「どれでもない」っていうバンドがいないですね。オルタナティヴっていうか。

○オルタナロックのことですか?

ウ "オルタナロック"……うーんそうですね、いないですよね。いたら、一緒にライブとかしたいんだけどなあ。まあオルタナロックなひとにしてみればyocioは「歌謡ロックじゃん」ってなるんでしょうけど。"オルタナティヴ"っつってんのに頭カタそうだから。まあ歌謡ロックってえのはある意味その通 りだしねヒャハハハ。

○歌謡ロックですか。

ウ なんつーか多くの福井のバンドってパンクだったらこう、ロックはこう、ポップはこうという定義の中だけでやってるような感じしか受け取れないですね。そういうのは東京だろうと名古屋だろうと一緒なんでしょうけどね。福井は顕著ですね。それが悪いってんじゃねえけど、そればっかだからぼくらみたいなバンドは辛いです。だから、イキオイがあればぼくは何だっていいってことになってしまいますね。

○はあ。

ウ まあぼくらも大して風変わりでもないんですけどねハハハハハ。この前は某バンドに「スペイシイはもうダメじゃん」とか言われたしねヒャハハー。

○あらら。

ウ そん時のライブはちょっとヒドかったからどう言われても構わないんだけど、手法を攻撃されるとは思わなかったっすねヒャハハハ。例えばぼくはメロコアとか全然思い入れがないけれどジャンルどうあれ本質があればいいんでないと思う質なので少しファッショな印象を受けました。分かりやすく言うと「ほっとけや!」ってことですが。あと同じひとに「スペイシイならフェイザー使ったら?」って言われたんだけど、バリバリ使ってたんでコンチクショウとか思いました。でもまあ勉強になったんでドモアリガタヤってなもんですが。

○はははは。じゃあ福井のインディーズについてはどう?

ウ うーん、最前線でやってるひとをアレやらコレやら言いたくないから、「シーン」の話になるんだけれど、実際「福井」としてのインディーズを捉えてみれば決して盛り上がってないですよね。インディーズそのものには注目がありますけれど、そんなものはたまごっちみたいなムーヴメントですよ。「インディーズ」が関係ねえもん。餌くれっつってピーチク騒ぎたててるような感じ。90年代後半の朴訥とした雰囲気がかすんでいってるような気がします。でもまあひとによる事象の形成ってえのは、そういうもんかもしんないですけどね。

○よくわかりませんが、それってイケナイことなんでしょうか。

ウ 別にイケナクはないですよ。いややっぱダメかなあ……分からない。どうでもいいや。

○どうでもいいってさあ。

ウ オリジナルやるよりもハイスタとかのコピーバンドの方が盛り上がるような土地柄で何言えってんですか?しかもぼくはそれを「まあしゃあねえよな」って思ってまうんですよ。それも別 に悪いってわけじゃない。だけど全然良いことじゃないし、面白くも何ともないってんだ!はっきり言ってつまんない。だけど、みんなそのままで構わないみたいだし、ぼくは好きなことやってるだけだから、どうでもいいってことです。

○ひがみじゃないですよね。

ウ ヒャハハのハ。そう思ってくれてもいいし。

○オリジナルをやる意味は福井ではあまりないとおっしゃる?

ウ そんなわけないでしょ。オリジナルやりたかったらやりゃあいいし、コピーでいいんならピーコバンドで上等でしょ。ぼくみたいな逃避に明けて暮れる者が決定する事項ではないです。皆さんそれぞれが追求したいトーンを好きなように追いかければいいって思います。でもまあ……そうだなあ、みんな絶望が足りねえんですよ。

○絶望ですか?

ウ なんつーんでしょうねえ、「もうアカーン」となった境地から「ダメやからやってんのじゃあ!」に到る神経が欲しいなあって思います。ポジネガの二元論じゃなくて……要するに「生きろ!」ってことかな。逆に「死んでもいいぞ!」ということにもなるんだけど、わけわかる?

○いいえまったく…うーん……先程「みんなは福井自体この状況のままで構わなく思う」みたいに言われましたが、そうは思わないひとも中にはいらっしゃるでしょう。

ウ そりゃいるだろうし、みんながみんな「そう」だとは言ってないですよ。でもいくら考えたって福井では-----まあどこでもそうかもしんないけれど「あからさま」なくらい(リスナー層に)受け入れてもらえなければ結局それはダメなのよってなわけで、ぼくは受けを得るために音楽やってるわけじゃないから-----まあ受ければ嬉しいのは当然だけれども----「受けないと意味がない」なんて死んでも言いたくない。自分から生まれた音楽を大切にしていくだけです。そういうのはFUZZBOMBSやbrowny circusらにお任せいたします。彼らが受け狙いってワケじゃないですよ、「市民権」を得るに足るバンドだと思うから……みんなが彼らに注目してくれりゃあいいなあと思います。

○yocioだって幅広いリスナー層に伝わっていくバンドだと思いますよ。

ウ だといいんですけどねフヒヒヒ。

○イヤな笑いだなあ。

ウ ぼくは色んなひとに(自分の曲を)気に入ってもらえりゃあ有り難いぐらいですから。気に入ってもらえないなら申し訳ないというだけ。「本物」かどうかはひとそれぞれ。

○意外と謙虚なんですね。

ウ パイオツ大好きですから。

○なるほど。で、そんなこんなで福井のインディーズ・シーンの中で、yocioはどうなっていくんでしょうか。

ウ そんなのぼくが聞きたいですね。どうにもなんねえですよ。ぼくはぼくなりに活動を続けていくだけだし、福井のインディーズ・シーンをトピックする立場のひとの意志とは関係ナシにぼくは活動していきます。ヒャハハハハ何だかエラそうなことばっかりぼく言ってますね。そんな大層なことしてないんですけどね。誤解されてもしょうがないってラインで今まで話してきましたが、差異あれどみんな似たようなこと思ってると思うんですよ。ぼくらを無視するやつは無視すりゃいいし、そのまま墓に入ってくれればいい。どうにもなんねえです。価値観を変えるチカラがぼくらになかっただけのことですから。申し訳ない。相スイマセン。ぼかあクソ最高にダメダメなんだ!

○話を変えまして、土橋くんが主宰するJOYRIDINGのレーベル活動の今後は……

ウ そうですねえ、ずっと出せないでいたコンピレーションCDが出……ます絶対。あとはNO LIMITED HOLE(ex.TRICK OF A SISTER-IN-LAW・上木厚史のソロユニット)の音源や、まだウチで出るかは分かりませんが某ミクスチャーバンドのシングルがウチ名義でリリース予定っていう感じ。ROADSIDE RECORDS(STUPID PLOTS山口氏主宰のレーベル)ぐらいしっかりやりたいんですけど、まあボチボチです。イベントはどうなるかな。計画のひとつにはインターネットで知り合った県外のバンドとかを福井に招いて一緒にライブしようかなあというのがあります。日本全体で大なり小なりひとつの「流れ」がうごめいているので、その匂いをかけらでも福井で感じ取れるような企画をしていきたいです。

○けっこう熱いこと考えてんじゃないですか。

ウ ひとは矛盾を抱えて青春を送るんです。

○最後に何か言いたいことありますか。

ウ みんなシアワセにね。

○お疲れさまでした……ああ、ところで今月の○○○○はもう仕上げた?

ウ お疲れサマンサ〜★

 


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